長生きするために、真面目すぎる必要はない?

「長生きするには、何をすればいいのだろう?」食事に気をつける。運動をする。睡眠をしっかりとる。
どれも健康のためには大切なことです。私もこれまで、健康で長生きするためには、こうしたことをきちんと続けることが大切だと思っていました。
ところが、そんな私の考え方に、ちょっと違った角度から「待てよ」と思わせてくれた本があります。
それが、免疫学の研究者として知られる順天堂大学の奥村康氏が書いた『「まじめ」は寿命を縮める 「不良」長寿のすすめ』です。
本のタイトルを見たとき、私は「えっ、不良になったほうが長生きするの?」と驚きました。でも、読み進めてみると、ここでいう「不良」は、好き勝手に生活するという意味ではありませんでした。
健康管理をガチガチにやりすぎてストレスをためるよりも、少し肩の力を抜いて、明るく、おおらかに、自分のペースで生きる。そのほうが、免疫を考えるうえでも大切なのではないか、という考え方です。

この記事では、奥村氏の著書を読んで私が特に興味を持った「長寿の秘訣」を、免疫力、ストレス、NK細胞、笑い、そして腸内環境という視点から紹介します。
この記事でわかること

この記事では、次のことを紹介します。
- 奥村康氏が提唱する「不良長寿」とはどのような考え方なのか
- ストレスとNK細胞の働きにはどのような関係があるのか
- NK細胞が私たちの体でどのような役割を担っているのか
- 「笑い」とNK細胞について行われた有名な実験
- 笑いと免疫について、その後どのような研究が行われているのか
- 本書で紹介されている食事・運動・睡眠などの考え方
- プロバイオティクスと腸の健康が免疫とどう関係するのか
- 私が2023年から続けている腸活について
「不良長寿」とは、どういう意味なのか

奥村氏がいう「不良」は、健康に悪いことをするという意味ではありません。むしろ、健康のために真面目に頑張りすぎて、ストレスをため込んでしまうことへの注意です。
「毎日きちんと運動しなければいけない」「健康に悪いものは一切食べてはいけない」「生活習慣を完璧にしなければいけない」そんなふうに自分を追い込みすぎるよりも、ときには好きなことをして楽しむ。
友達と出かける。思い切り笑う。少しくらい肩の力を抜く。そうした明るくマイペースな生き方を、奥村氏は「不良」という言葉で表現しています。
本書では、「不良長寿」の柱として、笑い、ストレス発散、体を動かすことなどが紹介されています。
私がこの考え方に興味を持ったのは、単なる「気楽に生きよう」という話ではなく、その背景に「免疫」と「ストレス」の関係があるからです。
ストレスが免疫に影響する? ここでNK細胞が登場します

奥村氏の話で、私が特に興味を持ったのが「NK細胞」です。
NK細胞とは、ナチュラルキラー細胞のことで、私たちの体に備わっている免疫細胞の一つです。NK細胞は、体内を見回りながら、がん細胞などの異常な細胞や、ウイルスに感染した細胞などを見つけると攻撃します。
奥村氏は、NK細胞を「体内のお巡りさん」のように説明しています。体内で生まれる異常な細胞などを見つけ、問題が大きくなる前に排除する役割を担っているという考え方です。奥村氏は近年の説明でも、NK細胞を「お巡りさん」にたとえ、ストレスなどの影響を受けやすい細胞として説明しています。
そして、ここで「ストレス」が関係してきます。
NK細胞がどれくらい活発に働いているかを示す目安が「NK活性」です。奥村氏は、強いストレスが続くと、このNK細胞の働きが低下することがあると説明しています。
だからこそ奥村氏は、健康のために真面目に頑張りすぎてストレスをため込むよりも、笑ったり、楽しんだり、ときには肩の力を抜いたりすることが、免疫を考えるうえでも大切だと考えています。
こう考えると、「なるほど、だから奥村氏は『不良長寿』と言っているのか」と、少し分かりやすくなってきます。
「毎日、数千個のがん細胞が生まれる」という話

本書を読んで、私が特に驚いたのが、体の中では毎日たくさんの異常な細胞が生まれているという話です。
奥村氏は著書やその後の講演などで、健康な人の体内でも毎日数千個のがん細胞が生まれているという説明をしています。近年の奥村氏の説明では、5,000~7,000個という数字も紹介されています。
「そんなに生まれているの?」最初に知ったとき、私はそう思いました。しかし、私たちの体には、そうした異常な細胞を監視し、排除する免疫の仕組みがあります。
その一つとして重要な役割を担っているのがNK細胞です。奥村氏は、毎日生まれる「不良品」のような細胞を、NK細胞という「お巡りさん」が見つけて排除するという、とても分かりやすいたとえで説明しています。
この話を知ると、NK細胞がなんだか急に身近な存在に感じられませんか。私たちは普段、免疫のことをあまり意識していません。ところが体の中では、毎日休むことなく、こうした免疫の仕組みが働いているのです。
だからこそ奥村氏は、NK細胞を元気に保つことを、健康長寿を考えるうえで重要なポイントとして挙げています。
「よく笑う」が長寿の秘訣になる? 吉本興業で行われた実験

ここで、私は「それなら、本当に笑うことでNK細胞に変化があるのだろうか?」と興味を持ちました。実は、「笑い」とNK細胞については、かなりユニークな研究が行われています。
1991年には、医師の伊丹仁朗氏らが吉本興業の協力を得て、大阪のなんばグランド花月で、笑いと免疫の関係を調べる実験を行いました。対象となったのは20~62歳の男女19人です。
参加者には漫才、漫談、吉本新喜劇などを約3時間楽しんでもらい、その前後で血液を採取して、NK細胞の活性などを調べました。その結果、測定できた18人のうち14人でNK活性が上昇したと報告されています。
面白いのは、それだけではありません。もともとNK活性が低かった人では上昇がみられ、逆に高かった人では正常な範囲に近づくような変化も報告されています。つまり、単純に「高ければ高いほどいい」というより、免疫の状態が適正な方向に変化したことが注目されたのです。
もちろん、この一つの実験だけで「笑えば病気にならない」と断定することはできません。それでも、この研究は「笑いと免疫」という、一見すると医学とは結びつかなそうなテーマを調べたユニークな研究として知られています。
そして興味深いことに、笑いと健康の研究は、この実験だけで終わったわけではありません。その後も、笑いと免疫機能、ストレス、心理状態などの関係について、さまざまな研究が行われています。
「なんばグランド花月で3時間、大笑いしてもらって血液を調べる」最初にこの話を聞いたときは、なんともユニークな実験だと思いました。
でも、その結果としてNK細胞の活性に変化がみられたことを知ると、「笑う」という身近な行為と免疫の関係を、少し意識してみたくなります。
笑うことは、ストレス発散にもつながる

ここで、最初の「不良長寿」の話に戻ります。
奥村氏が言いたいのは、「笑えばNK細胞が元気になるから、とにかく笑おう」という単純な話だけではありません。ストレスをため込まないこと。
好きなことを楽しむこと。人と会って話すこと。そして、よく笑うこと。そうした日々の過ごし方が、心の余裕につながり、結果として免疫を考えるうえでも意味を持つという考え方です。
健康のために頑張ることは大切です。でも、健康のことばかり考えて、毎日を苦しくしてしまったら、それは本末転倒かもしれません。
「少しくらい、いい加減でもいい」このくらいの気持ちで生活することも、シニア世代には意外と大切なのではないかと、私は感じました。
食事・運動・睡眠も、もちろん大切です

ここは誤解してはいけないところです。
奥村氏は、「食事や運動、睡眠などの健康管理をしなくてもいい」と言っているわけではありません。本書では、バランスのよい食事、体を動かすこと、睡眠などについても触れています。
つまり、「健康のために何もしなくていい」という話ではありません。健康を意識することは大切ですが、それを完璧にやろうとして自分を追い込みすぎない。楽しむことや笑うことも大切にする。
そのバランスが、「不良長寿」という考え方の面白いところだと思います。
腸も免疫を考えるうえで大切だった

ここまで読んで、「免疫を保つには、ストレスをためず、よく笑うことが大切なのか」と感じた方もいるかもしれません。私もこの本を読んで、特に印象に残ったのが「ストレスと免疫の関係」でした。
そして、もう一つ気になったのが「腸」です。実は奥村氏は、本書の中で「プロバイオティクス」についても触れています。プロバイオティクスとは、簡単にいえば、私たちの健康に役立つ働きが期待される「生きた微生物」のことです。代表的なものとして、ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌やビフィズス菌などがあります。
奥村氏は、腸は体の中でも免疫と深く関係する重要な場所だと説明しています。
そして、プロバイオティクスについても、腸内環境を整えるだけでなく、体を守る免疫の働きにも関係するとしています。その一例として紹介されているのが、「免疫グロブリン」の産生を高める働きです。
免疫グロブリンとは、病原体などから体を守るために働く「抗体」と呼ばれるたんぱく質の一種です。つまり、プロバイオティクスは、腸内環境との関係だけでなく、私たちの体を守る免疫の働きにも関わっているということです。
こうして考えると、「不良長寿」と「腸活」は、まったく別の話ではありません。ストレスをためすぎない。よく笑う。食事や運動、睡眠を整える。そして、免疫と深く関係する腸の健康にも目を向ける。
健康は、どれか一つだけを頑張ればいいというものではなく、いろいろな習慣がつながっているのだと、私はこの本を読んで感じました。
私が2023年から続けている腸活

私自身、2023年から腸活を続けています。
この本を読んでプロバイオティクスと免疫の関係を知ったことで、「腸内環境を整えることも、長く元気に過ごすために考えておきたいことの一つなんだな」と、改めて感じました。
もちろん、腸活だけをすれば長生きできるという話ではありません。私自身も、無理なく続けられる方法を意識しながら取り組んでいます。
2023年から実際に続けてきた腸活については、別の記事で詳しく紹介しています。腸内環境を整えるには何をすればいいのか、シニアでも無理なく続けられる方法を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
腸内環境を改善する方法|2023年から続けて分かった、シニアにもできる4つの腸活👇
「不良長寿」の考え方をもっと知りたい方へ

今回ご紹介した「不良長寿」は、私が考えた健康法ではありません。
私が読んだのは、奥村康氏の著書『「まじめ」は寿命を縮める 「不良」長寿のすすめ』です。
本書では、NK細胞とストレスの関係を中心に、笑い、食生活、運動など、長く元気に過ごすための考え方が紹介されています。なかでも私が面白いと思ったのは、「健康のために真面目に頑張りすぎて、かえってストレスをためていないか」という視点でした。
「不良長寿」という言葉が気になった方は、ぜひ本書を実際に読んで、奥村氏の考え方に触れてみてください。
『「まじめ」は寿命を縮める 「不良」長寿のすすめ』はこちらから確認できます。
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まとめ|長寿の秘訣は「頑張りすぎない」ことかもしれない

長生きするためには、食事、運動、睡眠など、日々の健康管理が大切です。でも、それだけではありません。
今回、私が奥村氏の本を読んで特に印象に残ったのは、「健康のために真面目に頑張りすぎて、ストレスをためてはいないか」という視点でした。
体の中では、毎日たくさんの細胞が生まれ、その中には異常な細胞もあります。それを見張る免疫の仕組みの一つがNK細胞です。そして、そのNK細胞とストレスや笑いとの関係について、実際に興味深い研究も行われています。
だからといって、「笑えば病気にならない」「不良になれば長生きできる」と単純に考えることはできません。ただ、健康のために頑張りすぎて毎日を苦しくするよりも、ときには笑って、楽しんで、肩の力を抜く。そんなおおらかな生活を取り入れてみるのも、シニア世代の健康づくりの一つではないでしょうか。
私自身も、腸活を続けながら、食事や運動、睡眠だけでなく、「楽しむこと」「笑うこと」も大切にしていきたいと思っています。

長寿の秘訣は、何か一つの方法にあるのではなく、無理なく続けられる健康習慣を、自分らしく積み重ねていくことなのかもしれません。
Q&A|長寿の秘訣と不良長寿について

Q:長寿の秘訣として、奥村康氏は何を重視しているのですか?
A: 奥村氏は、免疫力を保つことを重視し、そのために笑い、ストレス発散、体を動かすことなどを挙げています。特に、健康管理を真面目に頑張りすぎてストレスをためないことが、「不良長寿」という考え方のポイントです。
Q:不良長寿とは、健康に悪いことをしてもいいという意味ですか?
A: いいえ。好き勝手な生活をするという意味ではありません。健康のために頑張りすぎてストレスをためるよりも、少し肩の力を抜き、明るくおおらかに、自分のペースで生活するという考え方です。
Q:NK細胞はウイルスを食べるのですか?
A: NK細胞はウイルスそのものを食べるのではありません。ウイルスに感染した細胞などを攻撃する働きを持つ免疫細胞です。
Q:笑うと本当にNK細胞が活性化するのですか?
A: 笑いとNK細胞については、伊丹仁朗氏らによる実験など、興味深い研究があります。1991年のなんばグランド花月での実験では、笑いの前後でNK活性を調べたところ、測定できた18人のうち14人で上昇が報告されています。ただし、これだけで「笑えば病気にならない」と断定することはできません。
Q:腸活も長寿を考えるうえで大切ですか?
A: 腸は免疫と深く関係する器官です。奥村氏も本書の中でプロバイオティクスについて触れ、免疫との関係を説明しています。私自身も2023年から腸活を続けています。
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